バランスはどうやって取るんだ?
栄養ベースではなく、食材・料理ベースで考えるとしても、食べる物や量の目安となるものがないと難しいですね。特に「バランスよく」というのを考えると尚更です。
私は職業柄、糖尿病患者さんに使用する、「食品交換表」というものをベースに食材・料理・食べる量を考えています。
糖尿病患者さんのための「食品交換表」というのはなかなかよくできていて、仕組みを知ってしまえば使いやすいのではないかと思います。
なので、今回は「食品交換表」を使った食事の組み立て方を話していきたいと思います。
まずは6つのグループに分ける
様々な食材(調味料・お菓子は除く)を主な栄養素で6つに分類します。
1群には炭水化物の多いものとして、ごはんやパンなどの主食となるものや、いも、かぼちゃ、大豆以外の豆など、炊くとホクホクするもの。
2群はくだもの。こちらも糖質が多いのですが、1群は主にでんぷん質であるのに対し、2群は果糖やブドウ糖のような単純な糖質となります。
3群、4群は蛋白源ですが、3群はメインディッシュとなるタンパク質なので、肉、魚、卵、大豆製品などです。
4群は牛乳、ヨーグルトなどの乳製品で、タンパク質だけでなくカルシウムの摂取が期待されます。
5群は脂肪類。サラダ油やオリーブ油だけでなく、ナッツ類やベーコンといった脂肪を大量に含む食品はここに入ります。
6群は野菜類。淡色野菜と緑黄色野菜、きのこ、海藻がこの仲間です。食物繊維が期待されます。
1単位は80kcal
食品交換表では80Kcalを1単位とします。
といっても何のこと?となりそうですね。
「完全栄養食」などと表現されることもある鶏卵は、Mサイズ1個(正味50g)がだいたい80Kcalだし、6枚切り食パン1枚の半分が80kcalなのです。
このように食材をよく食べる量でみていくと、80kcalを最小単位とするとちょうどいい感じになることがわかったのです。
1単位が堅苦しければ、”1点” や “1ポーション” でも良いと思います。
摂取量を設定しよう
まず、1日の摂取量を決定します。
私の場合、体重維持が目標なので活動量に見合ったエネルギー量を設定します。
アプリなどで推奨量が出てくるものであれば、それに従うのも良し。
標準的な計算方法としては、「日本人の食事摂取基準」というものを参照します。
1日に必要な推定エネルギー必要量 = ①基礎代謝量 × ②身体活動レベル
という計算式を使います。
①基礎代謝量=体重1kgあたりの基礎代謝量の基準値×該当年齢の標準的な体重
②身体活動レベルは1日あたりの総エネルギー消費量を1日あたりの基礎代謝量で割った指標です。
自分で調べて計算するのはめんどうな方は、日本医師会のHPにちょうどいいのがあるのでアクセスしてみましょう♪
日本医師会:1日に必要なカロリー
https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html
食品をバランスよく配分する
食品交換表の6グループの食品を3食に配分します。
私のように食が細いのに高エネルギーを摂らないといけない人は間食も設定しましょう。
大切なポイントは「主食となる1群から摂るエネルギー量を全体の半分にする」こと。
糖質抜きダイエットをしているから主食は摂らないという人もいるかもしれません。
しかし筋肉を動かすのはブドウ糖なので、しっかりとグリコーゲンとして筋中に蓄えていないと逆に筋肉がやせてしまうのです。
なので、でんぷん中心の1群をきちんと摂っておく必要があります。
次にタンパク質源となる3群を決めます。
ここまで決まれば、あとは献立に合わせて割り振るだけ。。。。。
と言われても、イメージつきませんね。
私の1日のメニューづくりの一例をご紹介しましょう♪
食べる量と食べる物の決め方
1)必要摂取エネルギーと必要単位はいくらか
私の摂取エネルギー量は先ほどの医師会のHPで計算すると2200Kcalでした。
また、前述したように80kcalを1単位としますので
2200kcal÷80kcal=27.5単位
1日27.5単位が必要ということになります。
2)主食の量を決める
そこからまず1群の主食の量を決めます。
27.5の半分とすると13.75ですが、3食に分けやすくするために12単位にします。
細かくしすぎずわかりやすくするのも継続するコツです。
主食だけで1食当たり4単位(320kcal)とすると、ご飯なら200g(どんぶり1杯分)、パンだと8枚切り食パンが2枚なのでちょっときつい。
食が細くなるってこういう事、、、(涙)
主食は1食につき3単位、ご飯にするとお茶碗1杯分(150g)くらいにすることとします。
なので間食を挟むとして、
主食:3単位×3食
間食:3単位/1日
合計12単位とします。
3)タンパク質を決める
2群(果物)/5群(脂質)/6群(野菜類)はエネルギー量が増えてもそんなに変わらないので、それぞれ1単位ずつにします。
人によっては5群の脂質を増やす方もいます。運動をたくさんする方はそれも良いでしょう。私は脂質が多いとお腹を壊すので、1単位にとどめておきます。
総量の27.5から今決めた1群、2群、5群、6群を引くと12.5単位残ります。
計算式:27.5-(12+1+1+1)=12.5
これをタンパク質(3群、4群)に振り分けます。
一般的に、牛乳200ml(4群)は1.7単位になり、ヨーグルトを100g弱またはスキムミルク16gを使うとしておおよそ0.8単位、合計2.5単位となります。
すると残りは3群タンパク質を10単位。
3食に分割すると1食あたり3単位を超えてしまいます。卵にしたら1食で3個はとてもお腹に入りません。
そこで、
タンパク質を含んだおかず:2.5単位×3食
タンパク質を含んだおやつ:2.5単位/1日
としました。
献立を考えよう
配分した食品を「主食」・「主菜」・「副菜」・「間食」という形で献立を立てます。
たいていは「主菜」つまりメインディッシュを決めて、彩っていくパターンが多いでしょうか。
その時に、朝・昼・夕で肉+肉+肉など、偏らないように気を付けることが大切。
特に動物性タンパク質の頻度が高すぎると飽和脂肪酸が過多になってしまうので注意です。
よほどでない限りメニューのパターンが決まってしまうので、一皿ずつ撮った写真を着せ替えみたいにできるアプリがあるといいなぁ。
食品ごとのカロリーや成分については文部科学省の
食品成分データベース
で細かく検索できるので参考にしてみて下さいね。
※本記事における食事内容はあくまでも健康な人の配分であり、糖尿病等の疾患をお持ちの方は担当栄養士へ相談したり、指導に従って下さい。
<ライターProfile>
name:あんとん先生
とある管理栄養士
ある時はあん摩マッサージ指圧師
食と運動と手技療法の3本柱でフレイル予防を提唱している