AHAKI BASEってなんだろう??

正しい”あはき”とつながる最短ルート

2021年、我々は「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師をもっと多くの人に知ってもらい、その施術をもっとたくさんの人たちに受けてもらいたい」という理念から、この『AHAKI BASE』というポータルサイトを立ち上げました。

キャッチフレーズは時々で変わることもありますが、その基本コンセプトは「正しい”あはき”とつながる為の最短ルート」

免許行為であるからこそ、正しく患者さんを誘致・ご案内し、正しく施術・教育し、疾病の治療や健康増進につなげていかなければなりません。
我々はそのように”正しいあはき”をしているプロフェッショナルな先生方をAHAKI BASEでご紹介したいと思っています。

人の疾病の治療や保健を
目的として行う手技療法は免許が必要

現在、日本では医師免許をはじめ、全部で22種類の医療系国家資格が存在しています。⑴
その中でも、
「あん摩マッサージ指圧師」
「はり師」
「きゅう師」
「柔道整復師」
「理学療法士」
という免許はもしかしたら聞き馴染みのない国家資格の名前かもしれません。

その一方で、皆さんが聞き馴染みのある職業といえば
「整体師」
「カイロプラクター」
は聞いたことがある方はたくさんいらっしゃると思います。
最近では「YouTuber整体師」などと新しい肩書きを謳う人も増え続けています。

実は手技療法を<患者さんに疾病の治療や保健の目的で施す場合(業とする場合)>、上記のような各種免許が必要である事をご存じでしょうか?

第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000217_20160401_426AC0000000069

各種免許の違いと
出来る業務

一見、違いのわからない<医療系国家資格>
それぞれの資格で「できる業務」に違いがあります。
鍼灸マッサージ治療院や接骨院・整骨院、リハビリテーション施設(病院)でよく見られる国家資格ご紹介します。

上記イラストのように、それぞれの免許によって適応症状や症状改善の為に提供できる行為、働ける場所などに制限や違いがあります。

あん摩マッサージ指圧師は、手技しかできない
はり師・きゅう師は、はり・きゅうしかできない
柔道整復師は、骨折・脱臼・打撲・捻挫などの急性外傷に対する処置しかできない
理学療法士は、医師の指示がないと業務ができない

というように、免許とは「本来禁止されている行為を限定的に許可するもの」ですので、自ずと「出来ること」も限定的になる性質があります。

一般の方々にとって、これら資格・免許の違いが分かりづらいのは

・当該業界の啓蒙不足
・あはき法や柔整法による“広告制限”
・厚労省の取締不足
・施術者側のコンプライアンス欠如
・施術所や無免許整体院など、コンビニ以上とも言われる数の施設の乱立
・正しく真っ当な施術者へのアクセス方法が少ない

などなど我々業界側の問題も多いとともに

・医療に対して「心身に不具合があった時」しか関心がない
・「楽になれればなんでもいい」という意識
・専門性が高く、難解なものと認識され敬遠されてしまう

などの一般的な理由もあるように思います。

「こういう症状の時は〇〇科を受診すればいい」なんて専門の人でなければ正確な判断はできないし、ましてや広告制限によって具体的な疾患名や症状名を広告できないのですから認知が広がらないのは当然だとも思います。


無免許・無資格施術
=医業類似行為

あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師免許(以下、あはき師免許)は

「医行為」
(=医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為)

の一部を許可された免許であり、医業の一部です。

一方で、無免許・無資格による手技療法は医業類似行為として法律で禁止処罰の対象となっております。⑵
また、過去には医業類似行為を定義づけた裁判例もあります。⑶

手技・温熱・光線・電気・刺激療法は医業類似行為として定義付けされておりますが、
免許を持って行えば、
あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復術として医業の一部
免許を持たずに行えば、
医業類似行為

ということになります。

ところが、医業類似行為が禁止処罰の対象となりうるのは、「その行為が人の健康に害を及ぼす虞のある場合に限る」とグレーゾーンを生み出す余地を残した解釈となっております。⑷

医療行為で100%無害な行為はあり得ません。
体表からの刺激による侵襲性の低い施術やメスを入れる手術などの侵襲性の高い施術、また体表に作用する外用薬や体の内部で作用する内服薬など、すべての医療行為は人体に影響を及ぼす行為であり、効果と副作用は存在します。
害が及ばない行為であるならば、それは人体にとって何ら影響のない行為であり、意味のない行為と言えるでしょう。
ストレスの緩和や疲労回復、まして疾病の治療や健康増進に効果的であるなどと謳うこともできないはずです。

「指圧」は手技療法の総称

さて、これまで
・人に手技療法を施すことを業(なりわい)とするのであれば免許が必要であること
・各種免許にも出来ることに違いや制限があること
・免許を持たずに行う手技療法は医業類似行為として禁止処罰の対象になりうること
などを解説して参りました。

しかしながら世の中には「根本改善」「姿勢改善・骨盤矯正」「首・肩・腰のお悩み」などというグレーな表現で無免許施術を行うところが後を絶ちません。
※自治体によっては禁止されている所もある⑸

『特定の症状や疾患を改善させる表現はしていない』
という言い分は薬機法には触れないかもしれませんが、「手技療法を施し、人の健康増進を図る為の影響を与える」という狙いは明らかですので、免許を持たずに報酬の有無や多寡に関わらず、反復継続の意思を持ってお仕事とするのであれば立派な医業類似行為となります。

このように無免許・無資格で手技療法を施すことは「無免許指圧業」と言われます。
本来「指圧」という言葉は『あん摩・マッサージ以外の手技療法の総称』を意味しています。⑹
その為、あん摩・マッサージ以外の手技療法を業とするのであれば「あん摩マッサージ指圧師免許」が必要ということになります。

地域医療の一部としての
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師


日常の中で、「病院行くほどではないんだけど何となく調子悪いな」という時はありませんか?
それらは日常生活での疲労やストレスなど慢性化してしまった筋疲労や筋緊張、自律神経の乱調に由来する体調不良も多いです。

ところが、それらに隠れた重篤な疾患の可能性もあります。
「家で転んでから腰が痛いな・・・」と思っていたら腰椎の骨折だったり
「背中が痛いのが続くな・・・」と思っていたら消化器系疾患だったり
「頭痛と肩こりが続くな・・・」と思っていたら脳血管疾患だったり

それら隠された疾患を検査・診断することは医師にしかできませんが、基礎医学・臨床医学を学んできた免許者たちは「この症状は医師と連携すべき」という判断ができます。
そのような日常的・慢性的な「病気未満の体調不良」への対応から、より専門的な医師への橋渡しまでが可能であるのがライセンス者であり、地域医療の一端を担うべき存在であると考えます。


また近年では、対象となる疾病や症状をお持ちで医師の同意書を得られた方に対して、健康保険を利用した訪問在宅マッサージも多くなってきました。
マッサージを通して、より深いコミュニケーションを患者さんと取ることができます。
より多くの情報を持ち医師と連携できる。
これも地域医療の根幹をなすものではないでしょうか。

売上を最優先し、回数券や不安を煽るような言葉で患者さんを囲い込み、他医療機関への連携もせず、適切な医療を受けることの妨げとなるような店舗も多くあります。
しっかりと患者さんが、あん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔道整復も含めた適切な医療を受けることのできる道筋を敷かねばならないと考えています。


正しい”あはき”につなげるための道標として

これだけ複雑に絡み合っている業界です。
ならば、「どうやって真っ当なお仕事をしている施術者さんに会えばいいの?!」と思われるでしょう。
その問題を解決する為に、AHAKI BASEというサイトを立ち上げたのです。

現在も鍼灸院・接骨院・整骨院をメインとした検索サイトやリラクゼーションサロン等の検索サイトは存在しています。
しかしながら手技療法の専門家であるあん摩マッサージ指圧師も検索できるサイトというのはありません。

初めての患者さんからすれば、治療院の雰囲気だけではなく、施術者の人柄や施術に対する考え方・コンプライアンス意識など治療院選びで気になる要素はたくさんあります。

AHAKI BASEでは単に治療院を紹介するだけではなく、施術者一人一人にフォーカスし、その人となりまでも紹介していきたいと考えています。

ただ検索するだけでは勿体無いです。
将来的には上記イメージのように、マップ上に「いますぐ予約可能な施術者」のような形で条件に合う施術者とマッチングができるようにしていきます。
場所や予算、時間や雰囲気だけでなく施術者との価値観の共有を事前にマッチさせることで、より納得感・満足感のある施術を受けて頂けるコンテンツを目指します。

そして最終的な目標として、イメージ図のように患者さんと施術者がマッチングするだけでなく、福利厚生として”あはき”を導入したいと考えている企業や求人したいと考えている医療機関、また学生を募集している養成機関など、あはき・柔整業に関わる様々な人や施設を包括し、当業界の資質向上及び日本国全体の医療・健康に寄与したいと考えています。


早く、遠くへ、みんなで行こう

あはき業界についても、医業類似行為についても、一般の方々の認知についても一朝一夕で変わるものではありません。
今まで何度も変えようと動いてきた方達だっていらっしゃいます。
それでも今、この環境で働いている我々が変わっていかなければ周囲を変えることはできません。
SNSや動画サイトなど様々な情報発信方法があり、より多くの人たちへ伝えることのできる世の中です。
アフリカには「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」ということわざがあるようです。
この環境は「早く変えなければならない」し、「みんなで行動しなければ変わらない」と思います。

「早く、遠くへ、みんなで行こう」

真っ当な仕事をしている”あはき師”が真っ当に仕事ができるように
真っ当な医業としての”あはき”を求めている患者さんが真っ当な”あはき”に出会えるように

少しずつでも、このAHAKI BASEを皆さんと一緒に大きくしていけることを願い、活動していきたいと思っています。
ご興味を持って下さった方は下記お問合せフォームよりご連絡頂ければ幸いです。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

参照・引用・参考文献

  1. 厚生労働省
    医療・医薬品・健康・食品衛生関連国家資格
    https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/index.html
  2. あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律
    第十二条 医業類似行為の禁止
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000217_20160401_426AC0000000069
  3. 昭和35年 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反 最高裁判所判例集
    https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51354
    判決文全文
    https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/354/051354_hanrei.pdf
  4. いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta1075&dataType=1&pageNo=1
  5. 不適切な広告内容、不適切な広告事例
    相模原市、施術所・出張専門業開設の手引き
    https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_project_/00_common/ijiyakuji/kaisetsu_tebiki.pdf
  6. 前田和彦、関係法規第7版、医歯薬出版株式会社、2018、P34~37

その他参考資料

  1. 厚生労働省
    無資格者によるあん摩マッサージ指圧業の防止について
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1.html
  2. 厚生労働省
    医業類似行為に対する取扱について
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1a.html

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