訪問マッサージ・訪問鍼灸で患者様とトラブルになりやすいのが”料金関係”です。請求書をそのまま患者様に渡すだけになっていませんか?何にどのくらい料金がかかるのか、事前に把握してトラブルを避けましょう。
訪問マッサージの料金トラブルになりやすいのは
1番は料金の変更があった時です。請求時に、”何故かいつもより高い”と患者様やご家族が感じてしまったら……。そこから不信感やトラブルに繋がってきてしまいます。訪問マッサージ・訪問鍼灸では料金の変動はよくある事ですが、それを事前に伝えていなければトラブルの元になるでしょう。
料金の変更
訪問マッサージは厚生労働省によって全国一律で料金が定められています。しかし、先月と同じ訪問日数でも料金が違うことがあります。なぜでしょうか。料金が変動する原因は主に3つあります。
往療料:往療料とは交通費の事です。施術者が患者様のご自宅や施設に行き施術を行うため発生します。現在は距離が4km以内か4km超かで決められています。施術者がどこから来るのかによって料金が変わる可能性があります。拠点となる事務所(治療院)や一つ前の訪問先(ご自宅・施設)からの距離によって変わるので注意が必要です。
施術部位:訪問マッサージの部位ごとに料金が決まっています。最大5部位まで施術をすることができますが、これは医師の判断により決まります(同意書が必要になります)。またマッサージとは別に変形徒手矯正術と言う手技があります。これはマッサージより単価が高いため料金に影響してきます。同意書は発行してから6ヶ月で期限が切れてしまうので、続けて施術を行う場合は再同意が必要になります。そのタイミングで部位数に変更があれば料金が変わってきます。また変形徒手矯正術は1ヶ月しか期限がありません。続けて変形徒手矯正術を行う必要がある場合は毎月同意書を発行してもらう必要がありますが、6ヶ月後に再同意を行う場合は2ヶ月目からはマッサージに変更になるので料金が変わって来ます。
※同意書の期限については必ず月末になります。同意日が1〜15日→当月から数えて6ヶ月後の月末、16〜末日→翌月から数えて6ヶ月後の月末が期限となります。変形徒手矯正術は1日単位できっかり1ヶ月です。
例1)同意日が4/1の場合、同意書の期限は9/30 変形徒手矯正術の期限は4/30
例2)同意日が4/16の場合、同意書の期限は10/31 変形徒手矯正術の期限は5/15
料金改訂:厚生労働省による料金改訂が2年に1度行われるので、そのタイミングで料金が変わることがあります。
訪問マッサージとは
そもそも訪問マッサージとはどのようなものなのでしょうか。
訪問マッサージとは、通院が困難な患者様の自宅や入所先の施設に訪問し、あん摩・マッサージ・指圧の施術を行うことを言います。施術者は国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の免許が必要です。
在宅で施術が受けられます。医師によって医療上マッサージが必要と認められれば医療保険が適用されます。また、訪問マッサージと似たサービスに訪問リハビリがあります。こちらは介護保険を使ったサービスで「理学療法士」や「作業療法士」が施術を行います。
訪問マッサージは医療保険
訪問マッサージを受けられる方は、ほとんどが要介護者です。混同してしまいがちですが、あん摩マッサージ指圧師が行うマッサージは医療保険です。
介護サービスを利用中でも点数に関係なく医療保険で訪問マッサージを受けることができます。
医師が必要と認めた場合のみ利用出来ますので、事前に同意書が必要となります。
訪問マッサージの料金内訳
訪問マッサージの料金は3つの項目によって変わります。
・施術の種類、部位数(マッサージ・変形徒手矯正術、1〜5部位)
・訪問先までの距離(前の訪問先からご自宅や施設まで)
・医療保険の自己負担割合(1〜3割負担)
施術の種類、部位数(マッサージ・変形徒手矯正術、1〜5部位)
医師が記入した同意書の内容によって算定されます。
施術の種類 | 部位数 | 単価 | 対象部位 |
マッサージ | 1〜5 | 350円 | 体幹、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢 |
変形徒手矯正術 | 0〜4 | 450円加算 | 右上肢、左上肢、右下肢、左下肢 |
訪問先までの距離(前の訪問先からご自宅や施設まで)
4km以内で2300円、4km超で2550円となります。距離は地図上の直線距離となります。(線路や川など迂回によって大幅に距離が変わる場合は摘要に書くことで実際の移動距離で計算できます。)
※拠点から16km以内が訪問範囲です。
同一施設や同一家屋で複数患者様を施術した場合は、いずれか一人の患者様のみに往療料が算定されます。
医療保険の自己負担割合(1〜3割負担)
介護保険は使用できません。健康保険証に記載されている負担割合で請求されます。
心身障害者医療費助成制度や生活保護の方も訪問マッサージがご利用になれます。
トラブルを避けるためにできること
・医療保険や料金体系を把握しておく。
・事前に患者様やご家族にしっかり説明する。
・請求料金が変更したり料金改訂があった場合にはお伝えする。
・料金変更時には書面に残すなど工夫する。
・領収書や明細書は必ずお渡しし、不明点があれば説明する。
まとめ
まずは訪問マッサージにかかる料金を正しく把握する事です。自分でインターネットの情報を見る時は情報元や最新の情報かどうか必ず確認しましょう。
少し見づらいですが厚生労働省のHPを確認するのが確実です。
そして患者様やご家族への説明が一番大事です。訪問マッサージの利用開始前、同意書内容の変更時、医療保険の自己負担割合の変更時、ご請求時、料金改定時、前後の患者様からの移動距離の変更時など逐一説明することでトラブルは避けられます。
また、別居家族への連絡や書面に残す事でよりトラブルを避けられるでしょう。
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